ばあちゃんと久しぶりに
手を比べてみた。
唯一味をはじめたばかりの頃
同じ作業をして、私の手はマメだらけ
ばあちゃんの手はびくともせず
作業前と何も変わらない手に驚いた。
私もいつかこんな手になれるだろうか。
そう思っていたあの時を思い出す。
あれから私は
畑仕事もまあまあ一丁前になり
結婚をして母ちゃんになった。
家で籠り脚本を書いていた青白い手は
節が太く皮も厚く、
末端冷え性は何処へやら
「あなたの手は温かいわね」と
つい先日も義母に言われるほど
たくましく生きる手になったと思う。
気が付くとそうなっていた。
ばあちゃんの手は反対に
柔らかく透き通り
ひとまわり小さくなった。
寝てばかりだからだよ
一緒にまた畑仕事しようよ。
と、言おうかと思ったけどやめた。
寝てばかりいてもいいから
元気に楽しく生きてほしい。
会う度に少しずつ距離が遠くなる気がして
忘れてほしくなくて沢山話した。
これはもう忘れてしまったんだな
これは覚えていてくれてる
あの話また聞きたかったけど
もう忘れてしまったのか
色々あるけど、
まだまだ大丈夫だよね、ばあちゃん。