21 2021 .Dec

キチマツオヤジ

辛いもの好きだった“キチマツオヤジ”こと
私のひいお爺さん。
キチマツオヤジが大事に毎年育てていたのが
この唯一味。

私は一度も会ったことがないのだけど、
ばあちゃんを経由して種を受け継ぎ
毎日キチマツオヤジが食べていた
この唯一味を私も食べている。

唯一味を始めるようになってから
キチマツオヤジがどんな人だったか
ばあちゃんによく尋ねては
色んな話しを聞きだした。

集落に6軒しか家がないような
秘境にキチマツオヤジ一家は住んでいて
キチマツオヤジが亡くなった時、
そのうちの何人かが
「この人のお陰で自分は人生を救われた。
 返せないかもしれないお金をドンと
 貸してくれたからやり直せた」
と墓前で手を合わせたと言う。

誰よりも働き者だった人で
贅沢なことは一切せず
家族や人の為に生きた人生。

格好良すぎて、ばあちゃんに
「大袈裟じゃなくて、本当にそんな人だったの?」
と確かめた事もしばしば。

叶うなら会ってみたい。
いつもそう思いながら
ばあちゃんにキチマツオヤジの昔話をせがむ。

Related posts

もうすぐばあちゃんの誕生日。